アンドロイドもオリジナルも誠実すぎたんだと思う。信用できないタイプとか言ってごめん
Bloodborneに登場する人形は、神と神の愛についての話をする。造物主は被造物を愛するのか。あなた方人間は私(人形)を愛さない。逆であれば分かる。私はあなたを愛している。造物主は被造物をそう作るだろうから。
ネビュラのプレイヤーキャラクターであるリチャード・オズモンドに、この話は深々と突き刺さる。
彼の製作者が愛していたのはあくまでオリジナルのリチャード・オズモンドであって、代替品に過ぎなかった彼については最期まで一個人として見ることがなかったように思う。彼女の台詞はどれも、アンドロイド・リチャードからオリジナルの面影を見出そうとするものだった、と考える。
それでも彼はそう作られたゆえに、機能を停止するまで製作者を愛し続けるのだろう。たった独り、誰もいない月面で、彼女が還った地球を眺め続けるのだろう。
選択肢がないゆえの唯一の幸福。否定などできるはずもないからこそ、せめてその終りが穏やかなものであればと願ってしまう。
オリジナルも、誠実であるがゆえに苦しんだ人だと思う。
亡き父親の夢。親友の死を代償として得た目指していた場所。酸素も食糧も不十分な月面基地。所属する企業に見捨てられ、部下たちを救うためにはその中の誰かの命を紅石に捧げなければならない。
結果論ならいくらでも言える。ホシオカの業績が悪化する前に月面から撤退するべきだったのだ、などと。しかしオリジナルが月面基地に固執した理由が、父親の夢を叶えるため、親友の死を無駄にしないため、つまり他人の遺志を受け継いだがゆえ、という事実が重い。そして退きどころを誤り、守りたかったものすべてを失っている。彼の選択の結果として、愛する人まで命を落としている。
極限状態にあって問題に直面し続け、逃げる場所もなく救いの手など差し伸べられない中で、正解などあったのだろうか。たとえオリジナルが紅石に頼らずとも、互いの命を食い合う状態にはなっただろう。口減らしのために閉じ込められて死んだマーティン以上の地獄が繰り広げられた可能性は決して低くない。
リチャードは誠実すぎた。善き人が手を汚さざるを得ない状態に追い込まれ、悲劇を生み続けたという状況がただ哀しい。
リチャード自身の願いは、オリジナルもアンドロイドも、愛する人と共にいたいというものだったはずである。しかしその愛する人は、オリジナルと地球に帰るために命を紅石に捧げてしまった。
オリジナルは紅石に屈してしまったが、アンドロイドは抗うことができた。悲劇は止められたが、そのために失われた代償は大きい。
エンディングでPrayer's Ocean流せるような展開も用意しといてよと思ってやまない。舞台設定からして無理か……